1981年に初めてインドに行ったときに、ボンベイ(今のムンバイ)で車のボンネットで目玉焼きを作っている人がいて、思わず目を見張ってしまうほどにびっくりしました。そのくらい気温が高かったんです。
冗談みたいですけど、本当の出来事です。
当時の日本はそういう気温になったことがなかったので、信じられない光景に我が目を疑ったのですが、最近のこの暑さだと、インド並みにボンネットで目玉焼きができるかなっていう感じがしますね。
そんな暑さのインドにあっても、ヨギーはクーラーや扇風機のそばに寄っていくわけではないんです。
反対にヒマラヤのマイナス何十度という寒さになる日でも、ストーブにかじりつくこともなく、ホッカイロを貼るわけでもありません。
なぜヨギーが、ボンネットで目玉焼きができるほど暑い日でも、凍ってしまいそうなヒマラヤでも、木綿の布一枚のドーティーだけで平気でいられるのでしょう。
それは、ヨーガの中に暑い日には体をうんと冷たくする方法があり、寒い日には体が火の塊になるように温める方法があるからです。
決して快適なわけではないとは思いますけど、ヨギーにとっては暑くても寒くてもそれは心の平和を邪魔するものではなく、体の不調をきたすようなものでもない。
そのような向き合い方というか過ごし方をしているのが、ヨーガを究めた方々です。
私たちは凡人ですから、そういう境地には到底今世のうちにはなり得ないと思いますけれど、知っているだけでも、これだけ暑い気温の中で自分の体を冷たくするにはどうしたらいいかとか、プラーナヤーマを覚えて、自分でいろいろ変化する外的な状況に対応できる柔軟性としなやかさと強さをつくることができます。
寒い日であれば自分のなかにどのくらい火を焚いて、体のなかの火を燃やしその寒さに対応できるかということが一つのテーマになります。
ヨーガが本当にすごいなと思うのは、何も文化的な道具を使わずにただ5千年の歴史を持つ教えを使うだけで、この身ひとつでどんな状況も乗り越えられることですね。
私たちはそういう体をつくっているという意識も大事だと思います。
人間の体の神秘と無限の可能性というものは、神様がつくって下さったものです。
いいとか悪いとか自分の我が勝手な判断をして、神様が下さったものを最大限に有効活用しようと努力しないこと。
それが一番マイナスを生むと思いますね。
筋肉を柔らかくするためにボールを挟むとかボールを握るとか、膝の裏を伸ばすとか、暑い時期でも湯船につかるとか。
とても小さなことですけど、一つ一つ丁寧にやるだけで、とにかく心がいつもパワフルで元気で、普通にしているだけで楽しくワクワクしていられる。
そういう気持ちが消えないということが大事だと思います。
ヨーガ教室主宰 紙やまさみ
2018年7月19日(木)夜のレッスンで