色んな考え方があると思いますけど、私は好きなことだけやっていると進歩がないっていう考え方が好きですね。
進歩と進化というのは、負荷がかかる、衝突が起きる、そういうときに何かを分解したり破壊したりして、新しいものが生まれていく。
宇宙の創生もそうですけど。振動が起きてひろがって、一回壊されてまた新しいものが生まれてという、この繰り返し。
マントラオームも、誕生と維持と破壊という言葉の意味が、アーオームとなっています。
好きなことしかやらないと、そこに葛藤としての負荷がかかりにくいので、偏った「つもりの世界」だけが大きくなりやすいですね。
苦手なことに真剣に取り組むと、負荷がとても大きく強くかかって、その苦手な部分で自分自身に圧力もかかりますね。
そのときに思い込みとか、経験によるトラウマとか、価値観を一回壊さなければならなくなります。
その壊したあとに違う見方をすると、嫌いだったことが実は違う視点から見ると、とても興味が持てるような場合もたくさんあります。
それが人間の大きさをつくっていくし、豊かさをつくっていくし、ひろがりや成長をもたらすのだと思うんです。
そういう目で自分の好きなことに新ためて取り組むと、今度好きなことが、いままでよりもっともっと上手にできるようになってるんです、自動的に。
これは筋肉にたとえてよくお話ししますけど、苦手な部分っていうのは筋肉がないところです。
何をやっても強い筋肉でやろうとします。無意識にできたいから。
そうすると、弱い筋肉は置き去りにされていく。
どんどんどんどん、体のアンバランスがひどくなる。太ももが一番わかりやすいんですけど、外側ばっかり使うようになって内側がスポスポになるから、歳をとるとガニ股で膝が伸びなくて、背骨が曲がる。
内転筋という中心の筋肉は、鍛えるのがとても難しい筋肉ですけれど、いつもいつも感覚のない弱い筋肉に意識を持って何とかしようって負荷をかけていると、次第次第に自分の中心の筋肉が強くなってきます。
外側の筋肉と内側の筋肉のバランスが取れたとき、いままでできなかったこと、たとえば倍速で歩けるとか、もっと速く泳げるとか、ジャンプがすごいとか、重たい荷物が軽々持てるとか。結果、いろんなことが起きてきます。
それが、好きなことしかやらないっていうのはよくないよ、っていうことのわかりやすい例ですね。
日常のなかでやっぱり、自分で負荷をかけていく。苦手なことにも挑戦する。そこから逃げない。頑張る。
それが、自分の好きなことをさらに発展、成長、進化させるコツなんだってことがわかるといいと思います。
これは全部に共通です。
アーサナをやる時も、そういう目で自分の体を見ましょう。
重さが乗りにくい所にこそ乗せるとか。力が入りにくい所にこそ、力を入れるにはどうしたらいいかという工夫をする。
閉じ難い足首は、どうやったら一瞬も1ミリも離れないか、ということを考える。
常に脳みそを使い続けること、それは基本ですね。
体の声を聞きながら全体のバランスを整えていくとき、何も怖くない、自分の最高の免疫力と最高の治癒力、最高のエネルギーとパワーで、集中力も全開だし、やりたいことは何でもできる。
自分の努力ですよ、これも。
ただクラスに来てやっているだけでは、そういうことは起きません。
外から同じようなポーズに見えても、その人の中身での作業がどのくらい深いか、どのくらい集中してるか、どのくらい自分に負荷をかけてギリギリ締めているか、ということで、その効果の出方が人それぞれになります。
2020年7月18日(土)朝のレッスンで
アメイジング・ヨーガ教室
シャンティパット主宰
紙や まさみ