重さの玉を意識すると、行動に迷いがなくなります

アーサナをする時、「重さの玉」を活用するという技があります。

重さの玉の位置によって、アーサナの刺激がまったく変わるので、見えない重さの玉を体の中のどこに持つのかということに集中して、上手にできるようになって頂きたいんですね。

というのは、日常生活にそれが本当に役に立つからなんです。

肉体的な意味で役に立つというのは、たとえば片足で5本指の靴下を履くとか、ズボンを脱いだり履いたりする時に一本の足で立っていられるとか。

その時間が長ければ長いほど、重心の位置が正しくて安定しているわけです。

それが年齢とともに段々、中心線が弱くなってきて、歩き方の癖や立ち方の癖で、外へ外へと力が流れていくのが常です。

片足でこごむという姿勢は重心が決まらないとグラッときてしまうので、どこかにつかまって靴下を履いたり、ズボンを着替えるときに、まだ片足抜けてないのに途中で足が1回地面に付くということが起きるんですね。

どこにもつかまらないで、ちゃんと片足で5本指の靴下をすっと履ける、ズボンを着替えられるためには、内転筋を鍛えることも重要ですけれど、重さの玉をどこに置いているかを意識することが大事ですね。

別の例でいうと、階段を駆け上りたいとき、もしも肩に重さが上がっていると、肩の高さから階段までの距離の身体の重みを動かさないといけないんです。

けれど重さを丹田にしっかり全部集めてしまえば、丹田から階段までの距離だけ動かせばいいんです。上体は、ゼロになっているからです。

そうすると階段をターッと駆け上っても、呼吸が乱れたり疲れたり心臓がバクバクすることがものすごく減りますね。下半身の分だけの重さを動かせばいいからです。

そしていろいろな瞬間に、自分がいま重さの玉をどこに持って身体を動かしているかということに気づき続けることが上手になってくると、内面的なことにとても役に立ちます。

小さい神様の声が聞こえたって自分が感じたときに、これは本当に小さい神様の声なのか? 自分の我欲なのか? 判断が付かないことがありますね。

どちらかにエイっと決めたときに、ほんの微かに重さの玉が揺れるんです。

その揺れを自分で統計をとっていくと、本当の神様の声の時と、神様のふりをして我欲がささやいた時の揺れ方の、はっきりとした違いがわかるようになります。

それが手に入ると、決断に間違いがないです。

迷いもないし、いつもすっきりと何を選ぶか、どう行動するか、ピシピシいけるようになります。

これはものすごくデリケートなことなので、まずは肉体レベルで練習してみてください。

片足でこごむ、パンを焼くために粉をこねる、千切りをする、パソコンに向かって早打ちするというようなときでも、どんなときでも、いまどこに重さの玉があるかということを、ずーっと観察する練習をしてみてください。

自分の体の使い方がよく分かってくると思います。

そうすると、なぜ疲れるのか? なぜ感情がこういう風に荒れたのか?など、重さの玉の観察だけでも多くの発見があります。

これはひとつ大事な練習です。

アーサナをするときは、止まっているし、ほかに考えることもないですし、体のなかだけを見る贅沢な時間ですから、この技を徹底的に練習して、それを日常生活に応用しましょう。

2019年2月6日(水)朝のレッスンで

アメイジング・ヨーガ教室
シャンティパット主宰
紙や まさみ